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第9章 GNNの枠を超えて:その他のグラフ深層学習モデル

はじめに

深層学習モデルには,畳み込みニューラルネットワーク(CNN),リカレントニューラルネットワーク(RNN),オートエンコーダー,敵対的生成ネットワーク(GAN)など多くのモデルがある. これらのモデルによって様々な種類のデータに対応できる. 例えば,CNNは画像のような規則的な格子状のデータを処理することができ,RNNはテキストのような連続したデータを処理することができる. また,優れたCNNやRNNを学習させるためには,大量のラベル付きデータが必要だが(教師あり学習),オートエンコーダーやGANはラベルのないデータのみでも複雑なパターンを抽出することができる(教師なし学習). これらの多様なアーキテクチャにより,深層学習技術は画像処理,自然言語処理,データマイニング,情報検索など多くの分野に応用されている.

これまでの章では,単純グラフや複雑グラフを対象とした様々なグラフニューラルネットワーク(GNN)を紹介してきた. しかし,これらのモデルはノード分類やグラフ分類といったタスクに対してのみ開発されており,学習にラベル付きデータを必要とすることが多い. そこで,グラフ構造を持つデータに対して,より多様なアーキテクチャを適用する試みがなされてきた. 例えば,オートエンコーダーを,グラフデータにおけるノード表現の学習に用いた研究がある(Wang et al., 2016; Kipf and Welling, 2016b; Pan et al., 2018). また,変分オートエンコーダーや敵対的生成ネットワークなどの深層生成モデルも,ノード表現の学習(Kipf and Welling, 2016b; Pan et al., 2018; Wang et al., 2018a)およびグラフ生成(Simonovsky and Komodakis, 2018; De Cao and Kipf, 2018)に用いられている. これらの深層グラフモデルは,GNNがカバーできない状況下での幅広いタスクに対応でき,グラフの深層学習技術を大きく発展させている. 本章では,深層オートエンコーダー,変分オートエンコーダー,リカレントニューラルネットワーク,敵対的生成ネットワークを含む,グラフに関するより多くの深層モデルを取り上げる.

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